アキの気配

アキの気配 · 2012/05/03
アキの気配 『自然のように人間の能力を超えた所にあるものの不思議さを素直に不思議として受け入れる要素が 僕にはあって』 秦琴という楽器の音色は、そういう奏者の心を表現してピタッとはまる。三味線にもギターにも似たこの三弦の弦楽器は中国の古典的な民族楽器。楽器そのものは「8年ほど前に骨董市でたった3000円で買ったものです。壊れかけて床に置いてあるものを見ているうちに、これは本物の楽器だ!ってひらめいて」 楽器の名前すら知らなかったのだから当然奏法なんて分かるはずもなし。暗中模索の中で、三味線の絹糸を張り自身の爪一つで引く奏法を作った。そうして引き出した音をエフェクターで加工し、深みのある独特の音に仕立てる。 NHKの高視聴率ドラマ『武田信玄』のオープニングを飾るのあの”バララ〜ン”という魂のはじけるような音がそれ。(文 石川たか子) 深草氏を撮影させていただいたのは1988年東京中日スポーツ新聞のニューアクションという企画の『魅せる』,愛おしそうに秦琴を抱き丁寧に質問に答えて行く氏のオリジナルの音色を耳にする人も多くなり始めた頃の事