鬼を上手に暮らしに取り入れる。
そんな日本人のユニークさや知恵に惹かれますね。ありふれた日常こそ文化だと思います。当たり前なありふれた日常を自分なりに感じて、それを引き出して写真に収めるというのが好きですね。私は、ありのままの現実というのは、実は厳しいものではかないと考えているのです。厳しいからこそ、1日1日を地道に精一杯生きるということが尊いし、人間としての魅力も、厳しい現実を通して生まれてくるのではないかと思っているんです。確かに祭りは日常ではないけれど、そこには五穀豊穣や安全祈願など、現実の1日1日を営む願いが込められているわけです。
全国の祭りを撮り続ける宗方氏。祭りに登場する鬼に惹かれて、全国からファインダー越しに収集した鬼は120を超えるという。鬼に込められた人々の思いや厳しい現実の中に生きる人々の暮らしを表現して40年。
撮影活動を通して見て感じたことを聞いてみた。
(取材 構成/萩原和夫)
むなかた・さとし氏
1947年東京都生まれ。ワークショップ写真学校卒。72年ササキ・スタジオ入社。76年同退社後、フリーに。