青の革命『タンザナイト』 · 1994/04/01
1994年4月、日本のジュエリー史における「青の革命」が静かに幕を開けました。当時、まだ一部の愛好家にしか知られていなかったタンザナイトを、日本市場のメインストリームへと押し上げる一大プロジェクトが始動したのです。
大手商社からの依頼は「女性誌を軸とした広告展開で、タンザナイトの認知度を一気に高める」という野心的なものでした。バブル崩壊後の落ち着きを見せ始めた当時の業界において、ダイヤモンドやルビーとは異なる、多色性(見る角度で青から紫へ変わる性質)を持つこの石の神秘性は、新しい価値を求める時代背景に完璧に合致しました。
私が撮影を担当したこの一枚は、まさにそのビジネスの「顔」となるビジュアルでした。氷のような結晶の上に鎮座する深いロイヤルブルー。ファセットに宿る鋭い光線は、これから始まるブームの熱量を予感させるものでした。
この1994年を境に、タンザナイトは瞬く間に「憧れの宝石」としての地位を確立していきます。今や12月の誕生石としても定着したこの石の、日本における原点の風景がここにあります。